10年近く前になりますが、当時、私が合気道を学んでいた先生が
「目指しているのは、究極の癒しです」とおっしゃいました。
その時は、いったい何をおっしゃっているのか、さっぱりわかりませんでした。
しかし、稽古を重ねるにつれて、だんだんとその意味がわかってきました。
結局のところ、自分を癒すことができるのは、自分でしかない・・・
合気道修行は、その力をつける助けになる・・・
そのようなことを先生はおっしゃりたかったのだと思います。
江戸時代に書かれた「葉隠」という修養書があります。
その中に、
「武士道と云うは、死ぬ事と見付たり」という有名な一節があります。
これにはさまざまな解釈がありますが、私は“生と死は表裏一体であることを悟り、覚悟を決めて、今という瞬間に己のすべてを没頭することが武士としての生き方である”という解釈をしています。
「今という瞬間に自己のすべてを没頭できること」、これこそが心の平安の境地であり、究極の癒しではないかと私は考えるのです。
そしてこれは、合気道創始者である植芝盛平翁先生がおっしゃった、
「真の武道とは、宇宙そのものと一つになることだ」という境地と同一ではないかと思うのです。
時々購読する武道・武術雑誌である
「月刊 秘伝」。
今月号の特集が「覚悟とリラックス 今を生き抜くために」という内容でした。
巻頭に、ヨーガ行者であり指導者である成瀬雅春師と、合気道家であり思想家である内田 樹先生の対談が掲載されています。
ヨーガ行者と武道家、立場は違えど、道を究めんとして得た実感が共通していることが多く、たいへん興味深い内容でした。
私自身、整体という仕事を通じて、その場しのぎの安易なリラクゼーションではない、本当の意味での癒しを追求したいと考えています。
それが何であるか、どうすれば人さまに提供できるのか、少しわかりかけてきたように思います。
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