1月7日(日)朝9時半より、枚方合気道同好会の初稽古が行なわれた。
寒い日であったにもかかわらず、約30名の道場生が稽古に参加した。 最初に、先生が「今年の稽古方針」を発表された。 我々道場生は常にこの方針を念頭におき、稽古にはげみたいものである。 この方針は、先生が長い武道経験の中で練り上げて来られた、合気道稽古のあるべき姿のひとつであると思う。 僕のような未熟者が引用させていただくのはたいへん僭越だとは思うが、ここに紹介させていただくとともに、僕なりの解釈を記しておきたい。 日常に生かす合気道 ●「日常に生かす合気道」とは 僕が約10年前に稽古を始めた時から、先生は一貫して「日常生活に役立ててこそ、合気道を稽古する意味があります」とおっしゃっり続けている。 では、どのように合気道の稽古を日常生活に役立てるのか? もちろん、いざという時の護身や健康増進、あるいは美容などの役立て方もたいへん重要である。 合気道の稽古を通じて交友関係を広げ、生活に潤いを与えたり、仕事に生かす等の役立て方も良いと思う。 しかし、何よりも役に立てるべきことは、“心のあり方”だと僕は考えている。 心のあり方がその人のすべての言動のもととなり、言動が習慣や人間関係などの日常生活を形作る。 そして、日常生活の連続がその人の人生を織り成していく。 だから、合気道の稽古を通じて心のあり方を修練し、それを日常生活に役立てることが何よりも大切だと考えるのだ。 合気道では「心身統一」や「心技体一体」の境地を目指して稽古をする。 技や身体の処し方の訓練を通じて、心のあり方を練っていくのが合気道の稽古である。 稽古をすることにより、自分自身の身体で体感し、気付きを得ることが非常に大切である。 だから、稽古すること自体に大きな意味があるのであり、段位を取得したり、技が巧くなるのはあくまでもその結果に過ぎない。 それが本当の意味での「日常生活に生かす合気道」であると僕は考えている。 それでは、この「心のあり方」を練るために、何を念頭において稽古に臨めばよいのか。 先生は、それをたいへんわかりやすく、三つにまとめてくださった。 ●一、人の和を大切に研鑽する これをいちばん最初に記しておられる先生の真意をぜひ理解したいものである。 ここで書かれている「人の和を大切にする」とはどのようなことであろうか。 僕は「自分は自分、他者は他者だと認識すること」、「他者を尊重すること」そして「他者と争わないこと」であると考えている。 同じ人間など、この世にただの一人もいない。 考え方、価値観、生き方、個性、すべてがまったく異なるのである。 異なって当然なのである。 異なる考え方、価値観、生き方、個性があるからこそ、この世の中が成立しているのである。 まずはそれをよくよく認識することである。 それが人を尊重することにつながり、人の和につながる。 自分と考え方が異なるからといって他者を排斥をしたり、非難することは、断じてしてはならない。 もちろん「あいつが気に入らない」「あいつが許せない」という感情は誰にでも起こる。 そういうどうしようもない“我”は、誰にでもあるものなのである。 しかし、その感情や我をどうコントロールできるかが、とても重要なのである。 感情にまかせて、自分の我を言葉や行動に移して他者に押し付けたり、押し通すことは、争いのもとである。 それは、人間としてたいへん稚拙で恥ずべき行為であると知るべきである。 少なくとも、武道を研鑽する者は、断じてしてはならない行為である。 そして、万一そのような争いの矛先を向けられても、決してそれに応じてはならない。 いかに悪意や敵意を向けられたとしても、それに動じることなく、包み込んでしまう心の大きさ、静かさを、稽古を通じて養いたいものである。 自分の心を自分でコントロールすること、それが人の和を大切にする第一歩であると思う。 ●二、気を切らずに流れを大切にする 昨年までの稽古は、“技がかかる、かからない”や“技が効く、効かない”にこだわり過ぎていたように思う。 もちろんそれはそれで大切なことであるが、本来は技がかかる(効く)ことは結果である。 繰り返し稽古を積み重ねることによって、そうなっていくものなのである。 しかし、ただ漫然と稽古を繰り返していても、絶対にそうはならない。 そこで、漫然とした稽古にならないために「気を切らずに流れを大切にする」ことが必要なのである。 具体的に言うと、「型」を正確に行なうことであり、その基本となることが、常に「間合い」と「残心」を意識することではないかと考える。 本日は最初に先生が模範技として「正面打ち一教~四教押さえ込み」をやられたが、先生の無駄と隙の無い「間合い」と「残心」に思わず見入ってしまった。 恥ずかしながら、今まで僕自身もこのふたつを非常におろそかにしていたと感じた。 常に相手と適度で優位な距離を保つ(=間合い)、そして最後まで決して油断をしない(=残心)。 このふたつの上に、気を切らず、気の流れを大切にする「型」の稽古が成立すると思う。 “受け”は、相手を攻める気持ちを最後まで緩めないこと。 “取り”は、“受け”の気を敏感に察知し、それを無理なくさばき、隙を作らないこと、そして最後まで油断をしないこと。 日常から、そのような真剣さをもって技の稽古に望むことが必要である。 ●三、気を結び相手を思いやる心で技をする 相手の気を感じ取り、それを自分の気と一致させる。 さらには天地の気と一致させる。 接点で争うのではなく、接点を大切にする。 それが「気を結ぶ」ということである。 そして気の結びができれば、あとは“取り”主体で動けば、“受け”は転んだり、崩れたりせざるを得なくなり、それが技になる。 つまり、「投げ」や「極め」は結果なのである。 決して「投げてやろう」「極めてやろう」とは考えないことである。 そのような気持ちを受ければ、必ず反発する気持ちが起き、その結果ぶつかりが生じ、技にならなくなる。 だから、常に相手を思いやる心がベースになければ、本当の合気道の技はできないと知るべきである。 上記の一~三は独立して成立するものではなく、互いに強く関係し合っている。 ただ僕が考えるには「一、人の和を大切に研鑽する」がもっとも重要である。 これなくしては、稽古が成立しないばかりか、道場の運営すら危ういものになる。 それが誰であろうと、決して他者を批判したり、裁いたりしようなどとは思わないことだ。 何があろうと、すべては自分の心のあり方ひとつであり、他者の言動や攻勢に依存してはならない。 常に大きく、広く、穏やかで、静かで、平和な心を忘れないこと。 常に謙虚であり続け、笑顔と感謝の気持ちを忘れないこと。 そのうえで、どんな人も大切にすること、誰とも争わないこと。 なかなか難しいことではあるが、それを稽古においても日常生活においても率先して実践するのが、合気道の有段者である「証し」のひとつではないだろうか。 だから先生も、わざわざ注意書きとして最後に「特に有段者は和を乱すことのないように範を示す」と追記されているのだと思う。 以上、先生が与えてくださった方針に対して、自分なりの拙い解釈を加えてみた。 もちろんこの解釈が正しいとは限らないし、僕の独りよがりなところも随分あると思う。 また僕自身がまったくの未熟者であり、上記を実践できているわけでは決してない。 しかし、僕は先生を心から尊敬し、信頼申し上げているし、先生のお考えを正しく理解し、できる限り忠実でありたいと思っている。 そして、先生が目指される合気道を自分のものとし、その素晴らしさを人様にお伝えするために微力ながらお手伝いができれば、たいへんに嬉しいと思う。 今年も、ご指導くださる先生、道場運営にご尽力をいただいている先生の奥様、一緒に稽古をしてくださる道場仲間、そして稽古通いに理解と協力をしてくれる家族に心よりの感謝をささげつつ、初稽古の日記を締めくくりたい。
by hotshark
| 2007-01-08 06:00
| 合気道稽古日記
|
by hotshark
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