何かの本で、そう書いてあった。
なるほど、その通りだな、と思う。
自分でレイアウトを決め、家(テント)を建て、部屋を作り、家具を配置する。
キッチンまわりをセットアップし、ユーティリティスペースを充実させる。
準備してきた道具をフル稼働させ、巣作りをする。
いかに快適で便利に過ごすかを考え、あーでもないこーでもないと工夫をする。
小さい頃、さすがにままごとはあまりしなかったが、“基地作り”のような遊びは好きだった。
当時は空き地がたくさんあり、そこに段ボールや板きれで“秘密の基地”を作った。
また、廃材置き場の土管が“基地”だったこともある。
何をするでもなく、そこで過ごす時間が何ともいえず楽しかった。
通勤途上の川沿いの遊歩道に、路上生活者の“住まい”がいくつかある。
見ていると、参考になることが多い。
それも道理で、キャンプも路上生活も、同じ野外生活なのだから。
しかし、ああいう生活に憧れないでもない。
もし自分が結婚もせず、子供もいなければ、最低限のキャンプ用具をバイクに積み、全国を転々としながらの生活をしていたかも知れない。
シンプルで、原始的な生活。
それに対するかなわぬ渇望を、僕はキャンプという趣味で満たしているのかも知れない。