保古の湖キャンプグラウンドレポート(10)総括(長文です)

a0002763_7553186.jpg今回行った「保古の湖キャンプグラウンド」、僕はたいへん気に入った。
このレポートの最初にも書いたが、いま僕がキャンプに求めることを、ちょうどよい加減で満たしてくれるキャンプ場だと思う。

キャンプをする目的、キャンプに求めるものは、人によって異なる。
だから、僕がいいと思うキャンプ場が、すべての人にとっていいわけではない。

ちなみに、僕はキャンプへ行っても、あまり特別なことはしない。
ただそこで過ごすことを楽しむ、それが現在の僕のキャンプスタイルである。
だから、最も必要なのは「静かな環境」である。
それに「豊かな自然環境」が加わればなおいい。

このキャンプ場は、上記の2つを提供してくれる貴重なキャンプ場である。
以下に詳細を述べる。



『静かで豊かな自然環境』

このキャンプ場は、今までに僕が行ったキャンプ場の中で、もっとも静かなキャンプ場であると思う。
ここで言う“静か”というのは、聞こえてくる音が少ない、あるいは小さいという意味ではない。
耳障りな音、心を乱す音があまり聞こえてこないという意味である。

では、耳障りな音というのは何か。
いちばんは、人間が発する音である。
自分が人間でありながらこんなこと言うのはおかしいが、自然の中では人が発する音がいちばん耳障りである。
低く小さな話し声や、普通の足音、あるいは煮炊きをする音などはまったく気にならない。
むしろこれらは、人の温もりを感じる意味で、ある程度は必要な音のような気がする。
耳障りなのは、大人数での騒ぎ声、子供の泣き声や騒ぎ声、親の怒声、自動車のエンジン音、ラジオやCDプレイヤー(ときにはテレビ!)から聞こえてくる音などである。
昼間はなんとか我慢できるとして、夜間にこれらが聞こえてくると、僕はげんなりする。

今回のキャンプ滞在中は上記の耳障りな音が比較的少なく、静かなキャンパーが多かったように思う。
しかし、それは偶然ではなく、このキャンプ場がそういうキャンパー(静かに過ごしたいキャンパー)が集まるように仕向けているのではないか。
このキャンプ場を管理運営を担当されている保古の湖レンジャー事務所の安田さんにお話をうかがって、僕はそう思った。

このキャンプ場は、ふたつの厳然たる制限を設けている。

(1)ゴミはすべて持ち帰り
(2)花火厳禁

まず、キャンプ場でゴミ捨て場がないことは、AC電源がないことよりも困ることがある。
普段と同じようにしていたら、キャンプ中であっても大量のゴミが発生するからだ。
ただでさえ荷物が多いのに、大量のゴミを持ち帰るのは非常に困難である。
また生ゴミは放置していると異臭を放つし、下手をすると野生動物に狙われたりする。
だから、できるだけゴミを減らす工夫ができ、ゴミをうまく処分できなければ、ゴミ捨て場のないキャンプ場は非常に利用しにくい。
逆に言うと、ゴミ捨て場がなくても大丈夫なキャンパーは、ある程度アウトドアに慣れたキャンパーであり、そういう人たちはアウトドアにおけるマナーをきちんと身につけており、どちらかというと静かに過ごすことを好む傾向がある。

次に、花火厳禁について。
このキャンプ場では、打ち上げ花火に限らず、一切の花火を厳禁にしている。
これも絶対にゆずれない制限だそうだ。
やはりこれも、花火が騒音(人が騒いで発する音)や他者への迷惑につながるからだそうだ。
だから、たとえ小さな花火であっても、絶対に許可しないそうだ。
しかし考えてみれば、キャンプ場へ来てまで花火をする必要があるだろうか。
花火をして楽しむことなら、自宅周辺でもできる。
子供たちがやりたがるのはわかるが、同じ火を使うなら静かに焚き火を楽しむ方が、子供たちもよっぽど喜ぶと思う。

このふたつの制限を設けているキャンプ場は、意外に少ない。
公園や駐車場のようなキャンプ場で、大人数で酒を飲み大騒ぎをして、親子で派手に花火を楽しむのも決して悪いことだとは言わない。
だから、騒ぎたい人は、そういう人が集まるキャンプ場へ行けばよい。
でも、ひたすら静かに過ごしたいキャンパーもいるのだ。
このキャンプ場は、そういうキャンパーのために、上記の2つの制限を厳守することにより、静かな環境を守っているのである。

このふたつの制限の他にも、キャンパーを選別する仕掛けがある。

そのひとつが案内標識(看板)だ。
恵那インターチェンジからキャンプ場に至るまで、このキャンプ場の案内標識は一切ない。
キャンプ場の入り口にも、キャンプ場の所在を示す看板さえない。
ウェブにも簡単な地図と、「恵那インターをおりて、恵那山荘または根上高原の看板を目印に、山を登りきった最初の建物が受け付けです」という案内があるだけだ。
でも、それで充分、少なくとも僕はこれで道に迷うことなく、何の問題もなく到着できた。
しかし、案内標識がないことを「不親切だ」「わかりにくい」と文句をつけるキャンパーもいるそうである。
看板を設置したり保全したりすることに使うお金があるなら、キャンプ場の自然や快適性を保全したり、遊歩道を作ったりすることにまわした方がキャンパーのためになる、と安田さんはおっしゃっていた。
大賛成である。
現在の案内方法で来れないキャンパーや文句を言うキャンパーは、このキャンプ場には来なくていい。
僕はそう思う。

また、キャンプレポート中にも述べたが、付帯設備は必要最低限に近いものしか用意されていない。

まず、売店もないし、レンタル品もない。
でも考えてみると、本来アウトドアで過ごすためには自分ですべて準備するのが当たり前であり、売店やレンタル品が用意されていること自体がおかしい。

メインのトイレは、汲み取り式である。
この汲み取り式のトイレを嫌がる人が、たまにいる。
しかし、我々は好き好んでアウトドアにキャンプに来ているのである。
野糞をした経験のある人ならわかると思うが、用をたすのに“囲い”があることがどれだけありがたいことか。
穴を掘り、自分のウンコを埋めずにすむことが、どれだけありがたいことか。
それを思うと、充分すぎるほどの施設である。
またトイレには、トイレットペーパーは設置されていない。
これも改めて考えてみれば、アウトドアでは、紙は使う人が準備をするのが当たり前のことだ。

設備面に対しても、不便だとか不親切だとかのクレームをつけるキャンパーがいるそうだ。
僕も、事前にウェブサイトでこのキャンプ場の評価をいくつか読んだが、トイレが汚く臭いとの評価がいくつかあった。
だが、繰り返しになるが、ここを不便と感じるキャンパーは、設備の整った高規格キャンプ場へ行けばよい。
それから、決してここのトイレは汚くない。
もし汚かったら、それは利用者の責任である。
汲み取り式のトイレが臭いと文句をいうのなら、そもそもキャンプになど来なければよい。

このキャンプ場は、設備を必要最低限に絞っている反面、周囲の自然を保全したり、キャンプ場を整備することにはたいへんな手間とコストを費やしておられるようだ。

たとえば、石垣を作ってキャンプサイトを平坦に保っているが、これは放置しておくと徐々に崩れてくるそうだ。
そのために、毎年石垣を積みなおしたりしているそうだ。
またレポート中に記載したが、キャンプサイトの地盤の砂は、わざわざ厳選したものを運び込み、水はけをよくするために中央から周囲にかけて緩やかな傾斜をつけて整地してあるそうだ。
さらに、場所によってキャンプサイトの趣きに変化をつけたり、原生林の中の遊歩道作りを進めたり、この類の“目に見えにくい”ところに知恵と工夫と努力が盛り込まれている。

ここには、豊かな自然を静かに楽しみたいキャンパーが集まる。
キャンパーは、豊かな環境と時間を提供してくれるキャンプ場に、その感謝の気持ちをこめてキャンプ場の利用料金を支払い、キャンプを楽しむ。
そのお金は、周囲の自然の保全に使われる・・・
この保古の湖キャンプグラウンドは、周囲の自然とキャンパーが共生関係にある、そんなキャンプ場なのである。
そういうキャンプ場であることを静かに、強く主張し、そして頑なに守っている。
これからもどうか、そういうキャンプ場であり続けて欲しい。
そして、このキャンプ場の運営方針に賛同できるキャンパーは、心ゆくまでここでキャンプを楽しんで欲しい。

夏のすばらしい思い出作りができたことに、心からの感謝をこめて。

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by hotshark | 2005-08-27 07:38 | キャンプ・旅行日記
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